崖の上のポニョ >> 私が今いる世界はいったいどちらの世界だろうか
と、感想を一言で言うとそんな感じ。正確には「私が今、目の前に見せられている世界は、いったいどちらの世界か」
アニメーションとしてはそもそも、宮崎駿監督が天才のアニメーターだということは改めて知る必要のない理なのです。波の上を駆ける躍動感や、眠い目を擦りつつラーメン食べててコテンと寝落ちしちゃう可愛らしさや、カーチェイスの息もつかせぬスピード感。異論の余地なし。
今回、手描きに回帰するに至った理由について、フルCGがこれからますます表現力を高めていくことに危機感を覚えたためいう意見も見かけたけど、そうではなく、単純に手描きだからこそできる、手書きでしかできない表現を、(観客に)見せたいと、そう思っただけなのではないだろうか。
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さて、この物語では、「こっちの世界」と「あっちの世界」の境界がひどく曖昧になっていて、観ている観客はもちろんながら、おそらくきっと、制作者自身がそれらをあえて区別していないと感じた。
これまでは、このような「境界」は、明確に区別されていた。例えば、トトロの楠木、千尋のトンネル、などなど。
だが、本作での「境界」はどこだ?
ただ、わけのわからないうちに、どうやら今まで自分がいた世界=よく知っていたつもりだった世界とは違うところに、気付かないうちに放り込まれたような、そんな感覚。
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※最後の****(ネタバレ回避)が、明確な境界のように思われるかもしれないが、これは「試練」の体現であって世界を移動する境界とは違う(のではないか)。
【追記】
いや、違うのか。それが「試練」である理由(例えば、越えてはいけない境界を越えようとしているため。のような)が、もう一段階深いところにあるのだろうか。
あと、2度目を観るとたぶん大きく見方が変わるんじゃないかとtomorrowが言っていたけど、それはあるだろうと思った。
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93 :名無シネマ@上映中:2008/08/09(土) 02:12:20 id:oGsfp2+u
現代社会がどうとか神経症がどうってのは俺はよく分かんないけどさ。
とにかく、現代人は混乱しすぎて境界があることを忘れちゃってるんだろ。だから、宮崎監督は今までの映画で散々
「境界の向こう側っていうのはあるんだ!!」
と叫んできたわけで。
それに気づいて、共存しろと。でも何も変わらなかった。
だから、宮崎監督は、全員で境界の向こうに行っちゃおう、
って映画を作っちゃったんだろうな。と。しつこいようだけど俺個人の考えだからな。
あんまり真に受けるなよ。