おおかみこどもの雨と雪

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極めて効率性の高いシナリオ。ストーリーに関係の無い描写はしないし、説明が面倒くさいことや、説明すると矛盾が生じることは一切描かない(あるいは言葉で説明して逃げる)。そんな駆け足の作品になってしまったのは、一人の女性、花の半生記を、連続テレビ小説だったら39時間かかるところをたったの120分で描かなければならなかった事情を考えると、実にまっとうな判断である。そして、それを実際にやってのける技量には感心せざるをえない。

・・・あれ? そうなの? そういうお話なんでしたっけ?

そうしてまで伝えなければならかったテーマというのを、果たして受け取ることができたのか、自信がない。と言うのも、自分自身が、おおかみにんげんと恋をしたときに、おおかみこどもを産んだときに、あるいは自分がおおかみにんげんであると知ったときに、この作品が力になってくれるのかどうか分からなかったから。それとも、おいらも母親になれば分かるのかも知れないけれど、残念ながらそうはなれないので。

だからこそ、雨と雪の、選択と決意の、物語を、もっと深く描いてくれていたならば、きっと自分の生き方に力を与えてくれるだろうという確信を得ただけに、あまりに説明的なシナリオには少しがっかりしたのが正直な感想。

じゃあ、説明的でないとはどういうことかというと、草平の雪に対する気持ちであり、雪の草平に対する想いであり、その、青いワンピースが持つ意味なのでは。

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アオダイショウを巻き付ける一連のシーンがいちばん好き。