昭和三十年代主義
- 作者: 浅羽通明
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/04
- メディア: 単行本
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satou30より
懐古主義の筆者にはこれはよい。
第二章のテーマである「オトナ帝国の逆襲」についてのレビューは、別記。
がしかし、そのあたりはオマケのようなもの。それよりも、以下の記述を読んで、僕は泣いた。
幼いころから勝手知ったる地元。互いに気心知り尽くした地元つながりや学校つながりの知り合い。その限定を疑わず、その範囲で遊び場を見つけ、遊び方を考え、彼女や彼氏もそこでめっけて、日々をまったり楽しもうと志向している若者たち。
(中略)
それは同時にまた、上昇志向の終焉でもあるでしょう。
「最初から、自分がどこかのナニモノにならなければいけないんだって、考えずに済めば楽ですよね。でも、もうそうはいきません。わたしたち、みんなそうしなくちゃならないってことを知っちゃったから。目覚めちゃったから」*1
「自己実現」への煽りを真に受けて、目覚めたあげく、どこかのナニモノかへと上昇しようとする幻想、多くの若者が、自分がナニモノかであると思いこむ背伸び、自惚れ、上げ底へ迷い込みました。
今一番畏れているのはまさに、そうやって不相応な望みを持って、挫折して、人生後悔するんじゃないかという不安。もちろん、そうはならないように死ぬ気で生きる覚悟はあるし、覚悟はあるからこそ怖くて仕方がないのだ。